その他の経歴

学会発表

2012年 アジアオセアニア甲状腺学会

Association of FOXP3 polymorphisms with Grave’s disease in Japanese population
免疫において、自己免疫性疾患を発症しないように調節しているのが制御性T細胞です。制御性T細胞の機能や分化を調節するFOXP3という転写因子がある。FOXP3の遺伝子のタイプが、制御性T細胞の働きを悪くして、バセドウ病患者において眼球突出をきたすという報告です。

2012年 日本甲状腺学会(福岡)

Association of TBX21 gene polymorphisms(-1514) in a Japanese population with Grave’s ophthalmopathy
免疫において、T細胞が、B細胞と相互作用し、細菌やウイルスから体を守る抗体を産生するのを助けます。バセドウ病の原因は、TSH受容体抗体と呼ばれる抗体が原因です。この抗体が、採血で数値が高いほど、眼の筋肉の腫れと関連があります。自己免疫疾患を発症しないようにT細胞を調節している転写因子にTBX21があり、この転写因子の遺伝子のタイプが、バセドウ病眼症患者において、眼の筋肉の腫れに関連しているという報告です。
IgG4関連甲状腺炎に、甲状腺原発の悪性リンパ腫を合併した症例
甲状腺の機能が低下する橋本病という疾患があり、頻度は低いが悪性リンパ腫を併発することがあります。甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)において、免疫グロブリンのIgG4が増えるとの報告があり、橋本病やバセドウ病でIgG4が上昇している病態を特に、IgG4関連甲状腺炎と言われます。通常の甲状腺疾患より、IgG4関連甲状腺炎の方が、頻度が低いのですが、そこにさらに頻度の低い悪性リンパ腫を併発していましたので、報告しました。
頸部超音波検査を契機に発見されたZenker憩室の1例
甲状腺腫瘍は、頚部超音波検査が一番よくわかるが、甲状腺腫瘍と間違われやすい腫瘍の一つに食道憩室(Zenker憩室)があり、注意が必要との報告です。
血中IgG4が高値を示した自己免疫性膵炎に、糖尿病とバセドウ病を合併した1例
免疫グロブリンIgG4が上昇する疾患で、自己免疫性膵炎があります。ステロイドが奏効します。自己免疫性膵炎は、血糖値を下げるインスリンを出す所にも炎症が起こるため、血糖値が上昇します。また治療に使用するステロイドは、血糖値が上昇する副作用があり、糖尿病になりやすく、糖尿病を併発していました。2012年の頃は、バセドウ病患者の採血で、IgG4が上昇するという報告があまりなかったため、報告しました。
日本人バセドウ病、バセドウ病眼症におけるCD80,CD86遺伝子多型の関連性
CD80、CD86は、補助刺激分子といわれ、T細胞の活性化を促す働きがある。バセドウ病眼症患者とCD80、86の関連をみましたが、日本人において有意な関連は認めませんでした。

2013年 内分泌学会 九州地方会(沖縄県)

バセドウ病眼症に対するステロイドパルス療法と肝障害の関係
バセドウ病眼症患者の眼の治療の第一選択は、眼の筋肉や脂肪の炎症を抑える点滴効果のある、メチルプレドニゾロンパルス療法です。点滴で投与します。メチルプレドニゾロンパルス療法は肝機能障害の副作用が伴いますが、副作用の原因やどういう人が出やすいかを検討した報告です。肝機能障害は、ステロイドの量が多い(high dose群) 、男性 、50歳以上、喫煙あり、肝炎ウイルス既往ありという結果でした。
大学院の時の卒業論文になりました。

2013年 International thyroid eye disease society(ITEDS) カナダでの甲状腺眼症研究会

Association of between steroid pulse therapy to Graves’ophthalmopathy and liver disfunction
カナダの甲状腺研究会においても、日本人のバセドウ病眼症患者さんでは、メチルプレドニゾロンパルス療法の副作用である肝機能障害は、ステロイドの量が多い(high dose群) 、男性 、50歳以上、喫煙あり、肝炎ウイルス既往ありと報告しました。

2013年 日本甲状腺学会(和歌山県)

FCRL3遺伝子多型と日本人バセドウ病患者における関連性の検討
免疫細胞の中で、異物を攻撃するために抗体を産生するB細胞やT細胞の働きを調節する制御性T細胞(Treg) 、異物を直接攻撃するNatural Killer細胞(NK細胞)がありますが、こちらを調節している転写因子に、FCRL3遺伝子があります。日本人のバセドウ病眼症の患者さんで、重症度が高い人やメチルプレドニゾロンパルス療法の治療の効きにくさなどと関連があり、報告しました。
術前に濾胞腺癌と診断しえた一例
甲状腺濾胞腺癌は、甲状腺腫瘍の中で、穿刺吸引細胞診(針生検)を行っても、術前に診断がつかない腫瘍です。手術後に、腫瘍が周囲の組織(血管、リンパ節)への浸潤がある場合に、悪性であると診断をします。この報告は、穿刺吸引細胞診を行ったときに、腫瘍の悪性度が高く、手術前に診断がおおむね可能であった1例でしたので報告しました。術後診断も濾胞腺癌でした。

2014年 日本体質医学会(久留米) 若手研究奨励賞という学会賞を受賞しました。

日本人甲状腺眼症患者における遺伝子多型の検討
免疫において、制御性T細胞の働きを調節するFOXP3遺伝子とTBX21遺伝子があり、こちらの遺伝子のタイプで、バセドウ病眼症の患者さんにおいて、眼の突出と関係がありました。また、バセドウ病眼症患者さんに対する、眼の炎症を抑えるメチルプレドニゾロンパルス療法にて、眼の筋肉の腫大の改善や眼の筋肉の縮小率、眼球突出の改善と関連がありました。

2014年 内分泌学会九州地方会(福岡市)

自己免疫性膵炎に、原発性副甲状腺機能亢進症を併発した1例
副甲状腺は、身体の中でカルシウムの調節をしております。副甲状腺の機能異常は頻度が低いです。自己免疫性膵炎に併発した、副甲状腺の疾患は頻度が低いので報告しました。副甲状腺は、IgG4関連疾患ではありませんでした。

2014年 日本甲状腺学会(大阪府)

完全内臓逆位に甲状腺機能低下症を併発した1例
内臓が右と左で逆になる内臓逆位は、線毛不動症候群またはカルタゲナー症候群と呼ばれます。発生頻度は1~4万人に1人と低いです。線毛は、気道に広く分布しておりますが、気道以外にも分布しております。副鼻腔炎や気管支炎の合併の頻度は多いですが、甲状腺機能低下症との併発の報告が少なく、報告しました。
甲状腺眼症におけるTSH受容体抗体測定の臨床的意義
バセドウ病の原因として、TSH受容体抗体があります。TSH受容体抗体が、甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンをたくさん作ることで発症します。バセドウ病で目が突出するバセドウ病眼症の患者さんで、この抗体の数値が高いほど、腫れている眼の筋肉の数が多く、腫れている眼の筋肉の面積が多く、バセドウ病眼症の重症度と関連がありました。また、TSH受容体抗体が高いほど、治療に使用するメチルプレドニゾロンパルス療法の効果が少なかったと報告しました。

2015年 日本甲状腺学会(福島県)

バセドウ病が再発し、甲状腺機能が安定した後に、脳塞栓症を発症した1例
バセドウ病は、脈拍が多くなるために、心臓の壁が震えるような不整脈の心房細動を起こしやすいです。年齢が上がると多くなります。心房細動では、心臓の中に血栓ができやすくなり、脳塞栓などの原因となります。血液をサラサラにする薬を内服する必要があります。バセドウ病は、血液の凝固系と関連があり、血液サラサラにする薬(ワーファリン)が効きやすい状態(甲状腺機能亢進症)と効きにくい状態(甲状腺機能正常)があります。心房細動があり、血液サラサラを飲んでいる人では、甲状腺機能を安定化させるときに一時的に血液サラサラの薬(ワーファリン)の効果が落ちるため、血栓症が起こる可能性があるとの報告です。

2016年 日本体質医学会(和歌山県)

甲状腺眼症と喫煙の関連
喫煙をしているバセドウ病眼症の患者さんは、喫煙をしていない患者さんと比較して、眼の突出が重度であった。頭部MRIでの評価は、バセドウ病眼症の喫煙群では、眼の後ろの脂肪や筋肉の面積が広く、眼の筋肉の腫れている数も多い。眼の炎症を抑えるメチルプレドニゾロンパルス療法後も、非喫煙群に対して、喫煙群では眼の突出と眼の後ろの脂肪と筋肉の面積が多く、十分な改善が得られない症例も多かった。

2016年 日本甲状腺学会(東京)

バセドウ病眼症のシンポジウムで発表させていただきました。TSH受容体抗体の測定は甲状腺眼症の診療に有用か?というテーマでした。
バセドウ病眼症の患者さんにおいて、TSH受容体抗体は、眼の筋肉の腫れなどの重症度tp関連し、追加治療が必要な患者さんが多かったと報告しました。TSH受容体抗体も、バセドウ病眼症の患者さんでは、特にTSH刺激性抗体(TSAb)の測定が有用です。新しい測定法として、Aequorin TSAbという検査があります。こちらもバセドウ病眼症の診断に有効でした。

2017年 日本甲状腺学会(別府)

FCRL3遺伝子多型と甲状腺眼症の関連
2013年に発表したFCRL3遺伝子関連です。FCRL3遺伝子のタイプの違いで、バセドウ病眼症の患者さんの眼の筋肉の炎症の度合いと関連があると報告しました。眼の炎症の度合いは、頭部のMRIで評価可能です。
出産後に、急激に甲状腺機能が低下した橋本病の1例
甲状腺ホルモンは、身体の代謝の調節のみならず、妊娠の維持や子供の時は成長と発達に関連しています。出産後には、免疫の異常が起こりやすく、甲状腺機能異常(バセドウ病や橋本病)を起こすこともあります。出産後に、あまりにも急激に甲状腺機能が低下した症例は経験がなく、報告しました。橋本病の抗体(TPO抗体)が陽性であると出産後に低下しやすいとの報告があり、参考になりました。

2018年 日本甲状腺学会(埼玉)

甲状腺眼症患者における喫煙や眼症の重症度、MRI所見とIgG4との関連
免疫グロブリンであるIgG4が、喫煙をしているバセドウ病眼症の患者さんで高く、眼の奥の脂肪や筋肉の面積が大きくなりやすいと報告しました。喫煙は、バセドウ病眼症が治りにくいとの報告(体質医学会,80 No.1 2018 13-21)もあります。
FOXP3遺伝子多型(-3279C/A)間におけるIL12と甲状腺眼症の関連
免疫において、異物を攻撃する抗体を産生するB細胞の働きを調節するために、ヘルパーT細胞があります。ヘルパーT細胞もインターロイキン12(IL12)で調節されています。IL12の濃度が低いバセドウ病眼症の患者さんでは、眼の後ろの脂肪や筋肉の面積の大きさが大きくなりやすい事と関連がありました。

2019年 日本甲状腺学会(群馬)

甲状腺眼症患者に対するメチルプレドニゾロンパルス療法後の追加治療に関する検討
バセドウ病眼症患者さんにおいて、眼の炎症を抑えるメチルプレドニゾロンパルス療法の後に、追加で再度治療を行わないといけない重症例が存在します。メチルプレドニゾロンパルス療法の前に、眼の周囲の炎症を評価するClinical activity score(CAS)という評価法がありますが、眼(瞼や結膜)の炎症が強い人や頭部MRIで眼の筋肉の炎症が強い人に追加治療が必要になると報告しました。

論文

■頚部超音波検査を契機に発見されたZenker憩室の1例 (内科 第110巻 第2号 2010年8月号) 臨床研究奨励賞
■Hypophosphatemic Osteomalacia Due to Drug-induced Fanconi’s Syndrome Associated with Adefovir Dipivoxil Treatment for Hepatitis B (Intern Med 53:233-237.2014)
B型肝炎の薬で、低リン血症性の骨軟化症をきたし、多発骨折をきたした患者さんの報告です。
■日本人甲状腺眼症における遺伝子多型の検討 (日本体質医学会雑誌 第76巻1号 2014年) 野中賞
■血中IgG4高値を示した自己免疫性膵炎に併発したバセドウ病の1例 (内科 第114巻 第1号 2014年7月号)
■甲状腺濾胞腺腫と濾胞がんが共存した1例 (内科 第115巻 第3号 2015年3月号)
■Liver Dysfunction Associated with Intravenous Methyl prednisolone Pulse Therapy in Patients with Grave’s Orbitopathy. (Int J Endocrinol. 2015) 卒業論文
■バセドウ病眼症に対するステロイドパルス療法と肝障害の関係 アドバンス賞
バセドウ病眼症患者の眼の治療の第一選択は、眼の筋肉や脂肪の炎症を抑える点滴効果のある、メチルプレドニゾロンパルス療法です。点滴で投与します。メチルプレドニゾロンパルス療法は肝機能障害の副作用が伴いますが、副作用の原因やどういう人が出やすいかを検討した報告です。肝機能障害は、ステロイドの量が多い(high dose群) 、男性 、50歳以上、喫煙あり、肝炎ウイルス既往ありという結果でした。
■喫煙とバセドウ病眼症の関連 (日本体質医学会雑誌 第80巻1号 2016年)