高齢者糖尿病についての勉強会

2/16に公立八女総合病院の大木剛先生、久留米大学医療センター糖尿病センター田尻祐司教授から高齢者糖尿病の講演会がありました。

高齢者糖尿病は、生活習慣として食事をとる時間や量は若い人より安定しているが、長い糖尿病の罹患によりインスリンの分泌が低下していたり、認知機能の低下や筋力低下を併発している人がいるので、1人1人にあった治療を選んで個別化することが大切です。筋力低下は、最近サルコペニアと言われていて、転倒の原因になったり、インスリンの効きが悪くなる原因にもなります。サルコペニアが進行すると、寝たきり状態の一歩手前のフレイルという状態になります。サルコペニアもフレイルも、疾患として治療を介入すれば、元の状態に戻りますので、評価が大切になります。評価は、握力の低下、歩行速度の低下で判断します。目標体重が、65歳以上は少し多めに計算されるようになりました。やせすぎの予防になります。高齢者こそよく食べて、よく運動しましょう。

 

食事療法では、野菜を最初に食べると血糖値が下がりやすくなります。Vegetable firstです。咀嚼を多くすると、満腹中枢が刺激されて、食べ過ぎの予防になります。肉(牛、豚、鳥)、魚介類、大豆類(納豆、豆乳、豆腐)、乳製品(チーズ、ヨーグルト、低脂肪牛乳)、卵などの蛋白質の摂取は血糖値はあまりあがりませんし、筋肉を作るもとになります。消化管(小腸)より分泌されるインクレチンというインスリン分泌を促すホルモンがありますが、肉や魚を食べるとよく分泌されます。最初に野菜を食べて血糖値をあまり上がらなくして、次に肉や魚でインスリンを出して、最後に炭水化物を食べて血糖値の急な上昇を抑えましょう。

 

また、歯周病や齲歯が血糖コントロールが悪くなる原因になり、噛めないので柔らかい炭水化物の摂取が過剰になると、食後の高血糖を起こします。口腔内のケアにも注意しましょう。

 

運動は、椅子から立ち上がるチェアースクワットやペットボトルに水や砂を入れて、ダンベルの代わりにすることをお勧めします。最初から無理せず、少しずつ長くやっていきましょう。運動療法を開始する前に主治医のチェックを受けることが大切です。

 

当院の糖尿病治療は、美味しく食べて、楽しく運動して血糖コントロールしましょうを目標にしています。

2021年02月17日